ChaIT チャイティー

日本と中国を行ったり来たりするWebディレクターが中国ITの現状を綴る。

微信(ウェイシン)の次の一手!寝てても5,000億円稼ぐ日

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前回の記事でも紹介した中国版LINEとして有名な微信(ウェイシン)が今後どのような展開をしていくのか、少し憶測も入りますが紹介していきたいと思います。

まず微信(ウェイシン)を運営するテンセントについて簡単に紹介します。

 

微信(ウェイシン)提供企業テンセントについて

テンセント(Tencent)、中国名称では腾讯控股有限公司。

 

1998年に創業して、2004年に香港証券取引所に上場しています。
インスタントメッセンジャーテンセントQQ」を展開していましたが、その発展サービスとして2011年1月に微信をリリース、国外ではWechatとして展開されその利用者はLINEの倍の11億人とも言われています。

 

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出典:世界時価総額ランキング2015 ― Total Market Value Ranking 2015


2015年3月時点での世界時価総額ランキングで34位(約1,758億ドル)に入っています。
ちなみに35位はAmazon、33位はコカ・コーラなので、その凄さが分かると思います。

 

中華圏で一番時価総額の高い企業がチャイナ・モバイル(香港)で、時価総額ランキングは11位(2650億ドル)です。


実はチャイナ・モバイル(日本で言う3大キャリア)や中国の国営通信会社の中国国家工業情報部(日本で言うNTT)は微信を脅威に感じ、テンセントに対してかなりの圧力を掛けたというエピソードがあります。

 

当時のチャイナモバイル(中国移動:メガ通信キャリア)の意見や、中国国家工業情報部(工信部)からのプレッシャーは巨大で した。

 

swanbridgepartners.com

 

しかし、それらの圧力に屈しなかったテンセントは、伝統的な通信企業の収益源だったSMSや通話などを激減させ収益に大きなダメージを与える存在になりました。
実際にチャイナ・モバイルの時価総額ランクは前月比で下がっているのに対して、テンセントは6位順位が上がるという現象が起きています。

テンセントは中国だから守られながらシェアを延ばしてきたわけではなく、中国国内の既得権益を持つ巨大企業と戦って今に至るということを理解してもらいたいです。

 

微信のビジネスモデル

現状LINEにある機能は一通りあります。


というよりもLINEより半年くらい進んでいるイメージです。


LINEでは一部の企業にしか解放されていないAPIが微信ではすでに一般解放されており、1,000万を超える企業が様々なマーケティングに微信を活用しています。

 

そしてココからがこのブログタイトルに関わってくる重要な部分です。

LINEPayというLINEの決済サービスをテレビCMで観たことがある人も多いと思います。

 

微信も最大のキャッシュポイントは「決済」になると思われます。


実はこの「決済」はすでに凄いことになっており、、、


今年の春節(中国の正月)のキャンペーンで2億人が自分の持つ銀行口座と微信の決済サービス(微信ペイメント)を連結させたと言われています。

すでに日本の人口を遥かに超える人達の銀行口座が紐づいているということになります。

中国で同様の決済サービスとして知られているのがアリババが展開する「アリペイ」ですが、アリババにとっては微信が脅威になるでしょう。


個人的にはアリババは微信には決済領域で勝てないと思います。

 

なぜなら、多数の個人情報を持っているアリババですが、生活密着度が高くインフラと化した微信と比べると土俵が違う気がしてしまいます。

 

(全く根拠のない感覚的な話なのです。)

 

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実際に微信には「財布※」という機能があり、ショッピングモール、配車サービス、宝くじ、航空券予約、ファンドなど微信に登録した銀行から「微信ペイメント」にデポジットして気軽に楽しめます。

(※設定で主言語を中国語にしないとアクティベートされない機能)

 

微信ペイメントで生み出される収益

実際どのように収益を生むかは極めてシンプルです。

まず下記の図をご覧ください。

 

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もちろん、これは収益ではありません。

一時的にプールされた金額です。

 

 

しかし、、、これを運用すると

 

 

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現時点で利回りで770億円収益を得れるポテンシャルがあります。

 

しかし、これはあくまでも現時点です。

 

今微信が開拓しているインドなどでシェアを取り、かつ微信決済が浸透していくと7兆円がデポジットされるとも言われています。

 

そうなると5,000億円近くの収益を生むことになります。

 

もちろん微信の収益源はこれだけではないので、時価総額が50兆円を超える日も来るのではないでしょうか?

 

実際に私がこの一週間中国で生活して分かったこと

 観光名所や飲食店に行っても微信の公式アカウントを活用したCRMに力を入れている企業が多い印象を受けました。

実際に私も施設内のフリーWifiを活用する為にいくつかの公式アカウントに登録しました。

 

日本と違い、微信ペイメントと銀行口座を連結させることに人々がさほど抵抗がなさそうな感じです。知り合いも普通に微信でファンドに投資してました。笑 

さらにタクシーが捕まらないので配車サービスはもはやマストです。

 

結論、LINEの方が洗練されている印象ですが、微信の勢いは止められないと感じました。

 

環境の差は大きいなぁ。

 

寝てても5,000億円稼げるわけではないので良い子は勘違いしないでくださいね!笑